2018年05月13日  【読本天国】『ゴールデンカムイ』&拍手お返事


時は明治末期(アニメでは三十七年)、舞台は北海道。
日露戦争で「不死身の杉元」の異名を取った男・杉元佐一と、アイヌの娘・アシリパが、隠されたアイヌの金塊を探す冒険の話です。

 杉元は幼馴染で親友の寅次に頼まれ、虎次の妻・梅子(この子も幼馴染)の眼病を治すため。
 アシリパは、金塊の隠し場所を巡って殺された父のため。
 手を組んで、金塊の在り処を探します。

 金塊の在り処を示した暗号はなぜか、網走監獄に収監されていた囚人24人の背中に、入れ墨として彫られています。
 24人は脱獄し、指示された集合場所に向かう者あり、バラバラに行動する者あり。
 入れ墨を巡って、杉元・アシリパたち、囚人の一部、日露戦争の最強部隊である第7師団などが入り乱れての冒険活劇です。

 …と言えばハードなイメージかもしれませんが、それだけじゃないのがこの漫画の面白いところです。
 まずはグルメ。野外での活動が多いので、杉元とアシリパさんが様々な動物を捕まえ、アイヌ伝統の調理方法で食べまくります。熊とかウサギとかはともかく、カワウソとか食べちゃうんだ…と思いました( ¨) 最初は食べ慣れない動物を食べることになる杉元も、連載が進んでいくとだんだんコメンテーターとしての威力を発揮していきます(笑)

 次にアイヌの文化。普段なかなか触れることのないアイヌの生活を、関係者の方々に褒められるほどの詳細な調べ物をして描写しています。我々和人との違いや、アイヌ独自の文化がとても興味深いです。言語の発音とかも面白いなと思います。

 アイヌの人々の、自然に対する畏敬の念も心に響きます。少しカタチは違いますが、八百万の神々への敬意と通じるものを感じますね。

 そして出て来る魅力的なキャラクターたち。ブッ飛んでる人が次々と出てきます。
 絶対殺されない杉元や、脱獄王の名を持つキャラ、必殺の銃の腕前を持つ兵士などは、実にフツー。
 入れ墨の暗号を追い求める第7師団の中尉や、収監されるほどの罪を背負っている囚人たち、入れ墨集めに利用される人々など、一癖も二癖もありまくるキャラクターばかりです。作者さん曰く「変態」ばかりで、アシリパさんの身を案ずるフチ(おばあちゃん)が出てくるとホッとしますね〜。

 何より、すでにアニメでも出てきているので書いちゃいますけど、土方副長が生きている(!)という設定なのです。
 70を超えてなお勇壮な副長のお姿…尊い…(*´ω`*) 一緒に別の人も出てくる(アニメではまだ出てきていないので伏せておきますね)のですが、こちらさんもまたいい。新選組の生き残りがデッドレースに参加とか最高じゃないですか。

 ちなみに、ツイッターでも言ったのですが、杉元は作者さんのひいおじいさんが日露戦争に行ったことをモチーフにしているとのことで、私も自分の家系図を見直してみたところ、私のひいおじいさんも杉元とほぼ同じ歳のもよう…杉元をひいおじいさんだと思って見ています(笑)

 入れ墨の暗号はどうやって解くものなのか。
 金塊はどこにあり、誰がどんな目的で隠しているのか。
 最終的に誰が金塊を手にするのか。
 次のおいしいアイヌ料理は何なのか。
 どんな変態が登場するのか。
 楽しみは広がるばかりです(^O^)


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2017年12月09日  【読本天国】『浮世絵版画のできるまで』&拍手お返事


昨日、東京都渋谷区の太田記念美術館へ『菊川英山』後期展を見に行ってきました。
その時に館の本の在庫セールがやっており、買ってきた本がこちらです。

 タイトル通り、浮世絵が出来上がるまでの過程を説明する本です。
 著者は日本の浮世絵研究に長年関わってこられた、故・楢崎宗重氏です。

 中身は初心者向けで、浮世絵がどう作られ販売されたのか、版元や絵師、彫師、摺師などがどんな仕事をしていたのかをやさしく書いてあります。
 浮世絵は出版の際に必ず検閲を受けるのですが、それがどの段階でなされたのか、時代によって検閲のしるしである改印がどう変化していったのか、浮世絵向けに紙がどんな大きさで切断されたのか、その大きさでどんな作品が摺られているのかなど、彫りや摺り以外のことも書かれています。

 そしてこの本をぱらぱらめくっていて「買おう」と思ったページが、実際に色が摺られた見本紙が貼られていること。
浮世絵に使われた主な紙と色を説明しているページに、黒系3色、赤系3色、黄色系2色、青系2色が、2×6cmの大きさの紙に摺られて貼り付けられているのです。摺られる前の紙の見本も2枚ありました。
 家に帰ってから、「これが印刷された紙、印刷された後の手触り…」と、こすらないように気をつけながら触っておりました。

 巻末には元治元年に亡くなった三代目歌川豊国の遺作である『江戸美人尽』の下絵(画稿)と清書(版下)がお対で掲載されており、下絵から清書に至るまでの絵の変化や、下絵の線の勢いなども確認出来ます。
 昭和61年という古い本ですが、これだけの内容でお値段200円、いい買い物でした。まだ数冊残っていたので、行かれる方がいらっしゃいましたらぜひ。


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2017年10月28日  【読本天国】「◯◯選び辞典シリーズ」&拍手お返事

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ツイッターで話題になったのを見て気になったのでお迎えしてみました。

「ことば選び辞典」
 書きたい言葉が出てこない時、少しでも気の利いた表現をしたい時、キーワードを元に様々な類語を探すことが出来ます。例えば1項目目は「愛」なのですが、愛に関する22の言葉が並んでおり、その意味や用例が書かれています。さらに、スペースの都合で乗せきれなかった「その他の表現」や、似ているけれども別の表現「この項目も」(愛の項目の場合は「恋」が別の表現の例)という、参考になる言葉も合わせて掲載されています。

「感情ことば選び辞典」
 こちらもコンセプトは上記の辞典と同じですが、感情表現に特化しています。
 「敬愛」ということばを例に取ってみると、
 「そんな斎藤さん、私、土方さんのこと、拾ってくれた恩があるというか、仕事振りが尊敬できるとか、そういう風にしか見て…ません」
 「敬愛、ということか」
 みたいな使い方したり?(笑)

「難読漢字選び辞典」
 中を四つ(四季と自然・生活と道具・伝統と歴史・漢字)に分け、さらに細分化して、読みが難しい漢字を並べています。平仮名ではよく見るけれど、実際に漢字を当てるとこうなるんだーとかが確認できるのも楽しいです。

 ブログの文章にしろ、年表の作成にしろ、漫画の台詞にしろ、必ずことばの行や列に制限はあるわけでして。
 読みやすく見栄えを整えようと、行や列を縮めたり伸ばしたりするには、こういうものから知識を吸収しないといけないなと思って買いました。活字中毒なので、ふつーに読むだけでもたいへん面白いです(笑)

 文庫本サイズもありますが、大きな字の新書サイズを選びました。
 年齢的に小さい文字が見えづらくなってきたのもありますけど(苦笑)、実際手にとってめくってみると、私は新書サイズのほうがやりやすかったので。


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2017年10月07日  【読本天国】『幕末武士の京都グルメ日記』&拍手お返事


副題は“「伊庭八郎征西日記」を読む”で、伊庭八郎好きの私は本屋さんをうろうろしていた時、ちょうど発売直後で平積みにされていたところを、すぐ手にとってしまいました(笑)

 伊庭八郎は新選組の面々と同じ幕末の時代の武士で、江戸四大道場のひとつ・心形刀流練武館の八代目の息子に生まれました。
 剣の腕前は「伊庭の小天狗」と言われるほど強く、強豪道場の御曹司で、幕府の講武所剣術方を務める。見目も「白皙美好(肌の色が白く麗しい)」。さぞかし立派に見えたでしょう。
 また、最後も非常にドラマティックで、戊辰戦争においては箱根の戦で片腕を斬られ、鉄砲の銃弾を何度も食らっては驚異的な生命力で生き延び、箱館まで行き奮戦、モルヒネにて安楽死を遂げました。

 その彼が元治元(1864)年一月、徳川十四代将軍家茂の上洛に従って将軍警護の目的で京へ行きました。
 そして副題にもある「征西日記」(本題「御上洛御供之節旅中并在京在坂中萬事覚留帳」)を書き残しています。
 京でどう過ごし、何を食べ、何を見聞きしたのか。残念ながら原文は失われていますが、八郎の友人が活字にして残した同日記があり、それを今回すべて活字と解読文、解説文を掲載しています。

 私も伊庭八郎関連の本は2冊ほど持っていますが、いずれもこの「征西日記」全文を載せてはいません。
 読んでみたかったので、原文に解説文までついているという大変ありがたい本が出て誠にありがたく。
 在京中に京都や大坂のあらゆる場所を訪れ、普段の食事から高級な名物までさまざまなものを食し、現代以上に滅多に訪れることのない遠方での生活をエンジョイしていたことがわかりました。
 今も残る名所もたくさん訪れているので、この日記を元に彼と同じルートを体験してみるのも面白いかと。


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小山奈鳩

Author:小山奈鳩
時々江戸時代(主に幕末)へ暴走します。

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