【読本天国】『新選組 粛清の組織論』



 幕末に名を残した新選組。
 彼らは池田屋事件をはじめ、多くの戦いに身を投じ、敵を排除してきました。
 しかしその裏で、内部にも厳しい目を向け、記録されている限りでは敵の倍近くの人数の味方を粛清しています。
 筆者さんは本書の中で、粛清された隊士たちにスポットライトを当て、新選組がどう成り立っていき、粛清の歴史を歩み、滅んでいったのかを考察しています。

 芹沢鴨や山南敬助、伊東甲子太郎などの内部粛清という視点で語られる新選組。
 その姿は、組織を生真面目に律するあまりの悲劇でもあり、当然の結果でもあり。
 激動の時代に翻弄されていたのだなと改めて思い知らされました。

 京都の地図や粛清された隊士のデータなどが最初に提示されており、本の目的がはっきりしています。
 ただし、タイトルの通り「粛清」がテーマなので、池田屋事件など粛清に関係のない項目はさらっと流されています。一通り通史を頭に入れておいたほうがわかりやすいかもしれません。

 毎度ながら調べ物も詳しくされており、文章の中に埋め込まれたり最後に掲載されたりしている参考文献の多いこと多いこと。聞いたこともない資料名に、他に何が書かれているのかとても気になります(笑)

 また、読んで思ったのは、新選組の内部では粛清が行われていましたが、同じ時期に同じく京都で活躍していた見廻組や、浪士組から分派した新徴組など、幕末に存在した他の団体ではどうだったのかということです。
 どんな団体でも人数が増えれば思想や考え方も増え、派閥が存在するようになります。内部統一のために規律が作られることも多々あります。新選組と同じように綱紀粛正が行われたことはなかったのか、詳しい人がいたら聞いてみたいところです。


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小山奈鳩

Author:小山奈鳩
時々江戸時代(主に幕末)へ暴走します。

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