【読本天国】『ダークグリーン』


今年の夏は、夢の中で入れ替わってしまう男子と女子のお話が流行ったそうで。
夢というキーワードから思い出したのがこのお話です。

 198X年12月20日、人類は一斉に同じ夢を見ました。
 その日から「R-ドリーム」という世界の夢を見る者が続出し、夢の中で戦うのですが、夢の中で死ぬと現実世界でも死を迎えてしまいます。
 そのような過酷な夢を、美大を目指す浪人生の北斗も見ます。現実世界ではぱっとしない北斗ですが、「R-ドリーム」の中では強い戦士として活躍します。
 現実の世界に戻れない少年リュオン、わがままだけれども明るく、情け深い一面もあるミュロウ、謎の少女フィーン、「R-ドリーム」の研究者バロー博士などが、夢と現実を行き来しながら「R-ドリーム」やその先にある世界の謎、ひいては現実世界の危機に立ち向かう、という内容です。

 何故人類が「R-ドリーム」の夢を見るのか。
 現実をも侵す「R-ドリーム」とは何なのか。
 「R-ドリーム」の中で襲ってくる「ゼル」はいかなる存在なのか。
 そして表題の「ダークグリーン」とは?
 答えても答えても、尽きぬ泉のように湧き出てくる謎がすごくスリリングです。

 人物の関係も非常に面白いです。
 自分の正体や背負わされている運命に揺れるリュオン、リュオンが心配でならない北斗、北斗が好きで好きでたまらないミュロウ。現実世界では性別が逆転しているため、恋人に「R-ドリーム」の中でのことを誤解される人。
 敵を倒すために正義を貫きすぎる人、研究に走りすぎ、暴走する一面のある研究者。大きなちからを手にし、自らの強さを勘違いする者。いろいろな人や存在が出てきます。
 登場人物は何かしらの悩みや葛藤を抱えていて、現実や夢の中で起きていることに苦しんでいます。そこをクリアしていく過程は応援したくなりますね。

 ファンタジックでSFチックな骨太のストーリーで、いつの間にか壮大で深いところにまで行き着いてしまいます。
 これだけのお話を単行本10冊にまとめ上げる作者さんの手腕、一読の価値アリです。
 じゃっかんBL的なところもありますが、広い意味で人類愛だと思える人は大丈夫だと思います。

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小山奈鳩

Author:小山奈鳩
時々江戸時代(主に幕末)へ暴走します。

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