ホントはスゴイ鵜殿鳩翁・前編

 ちょっと野暮用で調べていたのですが、新選組の面々が浪士組として京へ上った際に、全体的な責任者だった鵜殿鳩翁さんが、意外とスゴかったです。

 鵜殿さんは大河「組!」に出ていて、京へ到着した浪士組の大半が江戸へ戻る中、京に残る近藤さんを評価し、会津に後ろ盾してくれるよう手を回してくれるという役割でした。

 だいたいどの作品でも影が薄いかまったく出てこないこともある鵜殿さんですが、実は旗本の最高位になったこともあり、徳川将軍へ直に仕えたこともある名家の方でした。

 素人の調査で不明な点が多い上にだらだら長いですが、経歴を追ってみたのでよろしければお付き合いをお願いしますm(_ _)m 長くなったので前後編に分け、今回は前編のみを続きへ格納いたします。



〜鵜殿鳩翁について 前編〜
◆文化五(1808)年 熊倉家の次男に生まれる◆
 熊倉家について調べがつかなかったのですが、旗本の熊倉家というものがあり、藤原北家秀郷流で、元は紀州藩士だったそうです。吉宗の時に江戸へ出てきたのでしょうか。

◆文化十四(1817)年 鵜殿甚左衛門長快の養子となる◆
 鵜殿家についても詳しくはわからなかったのですが、紀伊の牟婁郡鵜殿村発祥で、熊野別当氏、鵜殿城に拠り、南北朝時代には南朝側にいたそうです。その後、三河に移って今川家配下となりました。そして江戸時代には鳥取藩五千石を領した家と旗本となった家に分かれました。おそらくこの旗本となった家が鳩翁さんの家なのではないかと思っています。
 熊倉家から鵜殿家へどうして養子に行ったのかと思いましたが、両家とも旗本であればその繋がりで縁付いたのかもしれませんね。

◆文政二(1819)年 家督を相続◆
 おそらくこのタイミングで名前も継承し、鵜殿甚左衛門を名乗ったと思われます。

◆文政八(1825)年 小納戸となる◆
 小納戸とは江戸城中の役職のひとつで、将軍(この時は11代家斉)の側に仕え、身辺の雑務を担当しました。
 若年寄支配で役高は五百石。膳番、奥の番、蔵番、庭方、馬方、筒方などがあり、特技に応じて係に配属されたようです。さまざまな雑用をこなさねばなりませんでしたが、真面目にお勤めしていれば側衆(役高五千石)などへの昇進もあったそうです。

◆文政十二(1829)年 西丸小納戸となる◆
 西丸にも小納戸がおり、そちらへ移されました。
 ということは、将軍のお世継ぎ(たぶん12代家慶)の身辺雑務を担当したということですかね。すごい。

◆天保八(1837)年 再び本丸小納戸となる◆
 八年間西丸へお努めした後、本丸へ。この年に将軍が12代家慶へ代替わりしているので、一緒に移ってきたのかもしれません。同時に砲術の研究に励んだそうなので、筒方にでもなったのかなと想像してみます。

◆嘉永元(1848)年 目付となる◆
 九月十五日に目付に任命されました。
 目付とは若年寄支配で、旗本や御家人の監察、諸役人の勤怠管理を行うほか、江戸城内の巡察、消防の監視、将軍の供奉、評定所への出座、法令の伝達、願書などの評議、勝手掛、日記掛、町方掛などを担当しました。さらに幕末期になると外国掛、海防掛なども担当という忙しさ。当然有能な人物が任命され、遠国奉行や町奉行を経て勘定奉行などに昇進する道が開けていたそうです。
 さらに目付は老中が政策を実行する際に異同を唱えられる立場で、将軍や老中に不承知の理由を述べてよいのだそうです。鵜殿さん、大変な役に任命されております。

◆嘉永五(1852)年 諸大夫に列し、民部少輔と称する◆
 鵜殿さん、さらに偉くなるの巻(笑)
 諸大夫というのは、朝廷から従五位下に叙される格の役職で、旗本の最高位なのだそうです。
 大目付や町奉行、勘定奉行などの幕閣や番方のトップで、旗本にとっては大名と同格で名誉なことでした。
 民部少輔は幕末には形骸化していた律令制下の役職ですが、少輔は大輔に継ぐ序列です。偉いことには変わらない。
 ちょっとこの諸大夫にはウラがありまして、おカネの少ない公家が現金収入のため、実際には朝廷から任命書類を渡されるものの、書類作成代として二百両ともらうことになっていたそうです。それだけの現金が支払え、かつこうした役職になれる、本人も優秀と。すごいな…φ(..)

◆嘉永六(1853)年 ペリー来航。海防掛の目付けとなる◆
 さあ、いよいよ幕末です。
 海防掛は弘化年間に阿部正弘ら幕閣が設置した軍事と外交一体の政策策定と、その決定事項の推進を図るための機関でした。ここも俊英で構成され、老中・若年寄・寺社奉行・大目付・西丸留守居・勘定奉行・目付・勘定吟味役などから選ばれました。
 目付だった鵜殿さん、選ばれました。しかしながら彼のスタンスは、アメリカの国書の受領を拒否、国交拒絶を主張していたそうです。


 さて、ここまで順調に昇進を重ねてきた鵜殿さんですが、この後波乱の展開となります。
 来週に後編をお出しします。
 ここまでお読みくださりありがとうございました。

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小山奈鳩

Author:小山奈鳩
時々江戸時代(主に幕末)へ暴走します。

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