ホントはスゴイ鵜殿鳩翁・後編

 約250名となった浪士組を率いた鵜殿鳩翁が、どんな人物だったのかをなんとなく調べた記事です。
 前回はその生まれ、旗本の養子となって江戸城内で順調に出世していき、ついには旗本の最高位にまで上り詰めたところまでをご紹介いたしました。今回はその後の波乱の人生を辿っていきたいと思います。

 無駄に長いので続きへ格納いたします。お付き合いくださる方は続きへお願いします。


〜ホントはスゴイ鵜殿鳩翁・後編〜
◆嘉永七(1854)年 小普請となる◆

 旗本の最高位にまで上りつめ、前年に海防掛の目付になったにも関わらず、突然小普請に格下げとなってしまいました。
 小普請とは、幕臣でお役に就いていない者のうち、家禄三千石以下が編入される組です。元は江戸城などで小規模な普請を行う場合、小普請役が人夫を派遣して普請をさせたのですが、江戸時代中期頃に金納制となって人夫の代わりにお金を納めることになりました。
 旗本であっても親の跡を継いだ直後で役がない者、幼かったり病弱だったりする者もここです。そして、何らかの失策などを犯してしまってもここに落とされます。

 旗本の最高位が突然ここに落ちた理由は、資料がなくてわかりません。
 最初は何か失策があったのかと思いましたが、そうだとこの後の活躍がおかしいんじゃないかと思います。

 そこでちょっと調べてみたら、この前年、安政小田原地震が起きています。
 小田原で震度6から7で、小田原城天守の瓦や壁が落ち、三の丸の建物が倒壊。全半壊約3500戸、死者20名以上という被害です。
 江戸でも震度4から5、江戸城大手門の渡櫓の壁がすべて落ちるという揺れでした。もしかしたら格下げではなくその普請を鵜殿さんが担当させられたのかなと妄想してみたりして。

◆安政元(1854)年 ペリー再来。アメリカ使節応接掛に選ばれる◆
 小普請に落ちた直後、ペリーの二度目の来日を受けて、その使節の応接掛に選ばれました。
 そして日米和親条約や下田追加条約の成立に尽力し、調印しています。以降、幕政の改革に力を注ぎ、七月には軍政改正御用掛になりました。国の外交問題に関わるこの辺り、小普請の身分のままでは出来ないと思うので、それなりの地位には復活しているのではないでしょうか。

◆安政四(1857)年 ハリス上府御用掛となる◆
 今度は駐日公使ハリスの江戸出府に際し、その御用掛に任命されました。

◆安政五(1858)年〜六年 蘭国理事官参府御用掛→安政の大獄◆
 五年二月にオランダ国理事官参府用掛となります。蘭国との条約締結の下準備と思われます。
 ところが同年五月、駿府町奉行に任命され、江戸を離れることになりました。理由は、将軍継嗣問題で一橋派として井伊直弼の大老就任に反対し、松平慶永(春嶽)の起用を説いたりしたためだそうです。世にいう安政の大獄です。

 駿府町奉行は、徳川家康が大御所となって駿府に入った際に作られた役職で、駿府の警衛、町方の行政を担当しました。一時期廃止されたこともありましたが、寛永九(1632)年に三度目の幕府直轄化にともない二人制の役人として復活、元禄十五(1702)年に一人制となりました。役高は一千石、役料は五百俵で、目付の五百石から大幅アップ。目付から遠国奉行を経て勘定奉行に昇進する場合が多いので、一見栄転に見えますが、六年九月に免職・差控・隠居に処せられてしまいました。

◆万延元(1860)年 剃髪し、鳩翁と名を改める◆
 鵜殿鳩翁の名がここで見えます。
 どうして「鳩」の漢字を使ったのでしょうか。鳩は八幡様の御使いなので武家っぽいからでしょうか。あるいは「鳩に三枝の礼あり」から、礼儀を重んじるという意思の現れでしょうか。名字に「鵜」、名に「鳩」、どちらも鳥を示す漢字、気になりますね。

◆文久三(1863)年 浪士組の取締となる◆
 将軍状況に際し、浪士組の取締を命じられて、その長となりました。
 しかし清河八郎の行動に悩まされ、四月に辞職してしまいました。

◆明治元(1868)年 静岡に移り住む◆
 浪士組辞職後は幕府に仕えず、静岡に移住しました。

◆明治二(1869)年 病気で没する◆
 六月六日、六十二歳でその生涯を終えました。


 チラリとしか出てこない鵜殿鳩翁ですが、実はこんな経歴を持っていたスゴイ人でした。
 幕府のお声がけで集まった浪士組ですから、率いている人が適当な履歴の方のはずはありませんものね。
 納得したと同時に、その経歴に謎が深まる部分も出てきました。今はこれ以上わかりませんが気にしておいて、何かの折に出てきたらまたご報告したいと思います。

 ここまでお付き合い下さりありがとうございましたm(_ _)m

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小山奈鳩

Author:小山奈鳩
時々江戸時代(主に幕末)へ暴走します。

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