【読本天国】『一汁一菜でよいという提案』



 家庭科系の科目が全滅している私は、料理も当然得意ではありません。
 そして、複数人数の料理を作るということは、全員の好き嫌い、アレルギー、食べる量、それぞれが食べる時間に合わせて出せるか、予算内に納まっているかなど、さまざまな項目について考えなくてはなりません。
 加えて、栄養を摂るという意味では、一日三十品目食べましょう。
 味付けはかぶらないようにしましょう。
 彩りよくしましょう、エトセトラ、エトセトラ。

 世の中には偉い人もいて、上記項目をかなりクリアしている人もいらっしゃると思いますが…。
 私には、無理です(苦笑)

 そうずっと思っていたところへ、このタイトルの本が目に入りました。

 著者の土井善晴先生は、テレビの料理番組でお馴染みの方ですね。
 シンプルできれいなお料理を作っていらっしゃいます。

 この本は、料理を作るのがたいへんと感じている人に読んで欲しいのです。
 こう始まる本書は、土井先生が一汁一菜を提案するに至る経緯が、こんこんと丁寧に書かれています。

 一汁一菜はスタイルであり、その何が特筆すべき事なのか。
 一汁一菜が与える、心や体への影響はどういうものなのか。
 「食べる」「作る」、その意義とは。

 一汁一菜が貧相でも手抜きでもなく、ひとつのしっかりしたスタイルであること、丁寧にそれを行っていくことが、生活全てに波及していくこと、ひいては日本的な暮らしの考えにつながっていくことが連綿と書かれています。なかなかスゴイ捉え方をされていますよ、一汁一菜。

 数は少なくても丁寧に。
 食べることを通して、心も体も豊かになることを忘れずに。
 自分が作ってきた家庭料理を振り返ると恥ずかしいことばかりですが、たとえレパートリーや品数が多くなくても、愚直に作り続けていこうと思う一冊でした。

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小山奈鳩

Author:小山奈鳩
時々江戸時代(主に幕末)へ暴走します。

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