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徳川さんちの十五代:八代・吉宗 その9

 吉宗の記事、長々とやらせていただいております。
 やはり中興の祖ということでネタが多いですね(笑) もう少しだけお付き合いいただければと思います。
 今回は、紀州藩主時代の吉宗についてです。
 お読みくださる方は続きへお願いします。



<藩主就任は1705年>
 まずは吉宗の、紀州藩主としての在位を確認してみましょう。
 宝永二(1705)年十月から享保元(1716)年八月までの十一年弱。
 そのうち、紀州に在国したのは二度の参勤交代で総計一年八ヶ月、江戸にいる時間のほうが長かったようですね。
 ただしそれまでは紀州にいることも多かったですし、紀州にはいい人材がたくさんいて、江戸の吉宗に紀州の様子の報告がまめにいっていたようで、地元のことはそこそこわかっていたと思われます。


<父親の時代の藩財政を引き継ぎ>
 吉宗が藩主になる直前までの財政状況は、城下近郊の豪農62人から借りたお金が一千百四十五両残っており、別の地域でも千三百十八両の借り上げなどが記されています。

 収入面では先の三年が不作・凶作で収入=年貢が激減。
 支出面では長兄の嫁として綱吉の娘・鶴姫のお輿入れ(と、それに伴う御成御殿の建設とか)、江戸の火災による中屋敷類焼(たぶん元禄十一年の火災。江戸の東側をなめ尽くした大火災だったとのこと)、長兄・父・三兄が立て続けに亡くなったのでその葬儀などがありました。

 しかし、父親の光貞も手をこまねいていたわけではありませんでした。
 有能な人材を登用し、農政改革を行いました。新田開発・用水路開削によって生産力を拡大し、年貢を確保。農政に関わる経費(年貢を決めるための調査の役人の派遣とか)を削減するため、年貢の徴収方法を変更。農民の教育などを行いました。

 藩主となった吉宗もこれらを踏襲し、さらに藩士たちに倹約を命じたり、藩士の俸禄から一部を天引きしたり(後に返金しています)、参勤交代の数を少なくしたり(七代将軍家継の時にはずっと江戸に詰めていたせいもありますが)して、経費を抑えました。


<1707年・宝永の大地震>
 吉宗が藩主になってから二年後、宝永四(1707)年に大地震が起こりました。
 南海トラフの巨大地震で、推定マグニチュードは8以上と言われています。
 津波もやって来て、熊野速玉大社までの沿岸が全て流されたそうです。海っぺりから熊野速玉大社まで、直線距離でも約2km。すぐ横を熊野川が流れていることを考えても、すごい遡上距離だと思います。

 藩ではすぐに蔵米を解放、お救米を出してお粥を配ったり、味噌や塩、衣類の配布、農具や漁具等の貸出などを行いました。また、幕府も巡見使を出し、被害の把握に努めています。

 その後の災害対策としては、堤防や石垣堤、時鐘堂の設置などを行いました。
 障害物を置いて津波から人や土地を守る、万一のときには防災の鐘を鳴らすなど、現在と変わらない防災対策がとられたようです。


<1714年・正徳四年の大凶作>
 さらに正徳四(1714)年、またも苦難が吉宗を襲います。大凶作です。
 この年の夏、強烈な台風が紀伊半島に襲来し、収穫直前だった稲穂は大打撃を受けました。
 
 食料が穫れないわけですから、当然飢饉となり、米の値段も高騰します。
 米を手に入れることができず、行き倒れ、乞食、援助の必要な弱人(よわにん)などが出てきます。
 藩は御救小屋を出したり、弱人に綿や縄の製作などの仕事を与えたり普請を手伝わせることで米を現物支給したりしました。


<1716年・そして将軍へ>
 以上のような十一年弱のを経て、吉宗は将軍に就任します。
 財政再建、地震に凶作と、苦難に満ちた年月でした。
 が、この年の正月の記録では、金約十五万両、米約十一万七千石を蓄積できたそうです。
 借金からのスタートで、途中様々な自然災害に遭いながらも、最終的にはプラスになりました。

 しかしこれらの苦難やそれに対する様々な対応策があったからこそ、また対応策を実行できる人材がいたからこそ、将軍となってからも吉宗は政治の舵取りをしていけたのかもしれません。

 生まれてからずっと江戸にいて、領地に一度も行ったことがなく、現地の取扱は家臣におまかせで年貢が上がってくるのを待つだけの「名前だけの領主」とは違う。実際に領地経営を行ったことのある将軍は家康と吉宗だけ。やはり“叩き上げ”の将軍は違うなあと、改めて思いました。


 次回は吉宗が将軍になってからの政治を見ていきたいと思います。
 ここまでお読み下さりありがとうございました。

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小山奈鳩

Author:小山奈鳩
時々江戸時代(主に幕末)へ暴走します。

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